窓から見える町は、建物や道路だけでできているのでしょうか。そこを通った日の記憶、まだ入ったことのない家、誰かから聞いた話。目には映らないものも、町の輪郭をつくっています。マルコ・ポーロがさまざまな都市を語るこの小説を、小坪書房では、風景の外側を想像する一冊として選びます。
読むときは、自分の知っている町を一つ、隣に置いてみてください。本に書かれた都市と実際の町を照合する必要はありません。ある道を覚えている理由や、同じ場所が以前と違って感じられることに目を向ける。それだけで、窓の向こうに見えているものの数が少し増えるはずです。
この本棚での役割は、正確な地図をつくることより、地図に描けないものを受け止めること。場所について考える本や、身近な景色の写真と一緒に読むと、想像と観察のあいだを行き来できます。旅先だけでなく、よく知っている通りをもう一度歩きたい日に。