ページ、ベッド、部屋、通り。空間について考える入口は、遠くの建築や大きな都市に限りません。この本が扱う身近な場所をたどりながら、自分がいま何の上に座り、何に囲まれて読んでいるのかを確かめてみる。小坪書房では、見慣れた場所へ具体的な問いを差し込むための一冊として並べます。

おすすめしたいのは、読む前に、いまいる部屋を言葉だけで描いてみることです。窓はどこにあり、何と何のあいだを毎日通るのか。書き出してみると、分かっていたつもりの場所にも説明できない部分が残ります。本の言葉と自分の記録を行き来する読み方が、その小さな空白への入口になります。

三冊の真ん中に置いたのは、想像した町と、写真に写った瞬間を、自分のいる場所へつなぐためです。大きな結論を急がず、机から窓までの距離や、閉じた扉の向こうを考える。暮らしのなかで何度も開き直せる、観察の相手として薦めます。