本棚 001

窓の向こう。

2026年10月21日3冊

木枠の窓と、光の当たる何も置かれていない窓台。ガラスの向こうに、斜面に並ぶ家々と穏やかな海、遠くの山並みが見える。

窓は、外を見るためのものです。同時に、こちら側にいる自分の場所も教えてくれます。どこまでが部屋で、どこからが町なのか。ガラスの向こうに見えるものと、見えてはいないけれど知っているもの。その境目から、最初の三冊を選びました。

想像のなかに町をつくる小説。身近な空間に言葉を与える本。日常の一瞬に視線を留める写真集。順番に読んでも、気になった一冊から開いても構いません。三冊のあいだを行き来しながら、あなたの窓から見える風景も、一緒にこの棚へ置いてみてください。

  1. 01想像する。

    見えない都市

    イタロ・カルヴィーノ米川良夫 訳

    窓の向こうには、見えている以上の町がある。この棚の最初には、想像から場所を読む小説を置きます。目の前の建物を眺めながら、記憶や願いも風景をつくっているのだと考えてみる。次に読む本で実際の場所へ戻るために、まずは見えない町へ足を伸ばします。

    『見えない都市』について
  2. 02考える。

    さまざまな空間[増補新版]

    ジョルジュ・ペレック塩塚秀一郎 訳

    想像した町から、いま自分が座る場所へ。ページや部屋、通りについて考えるこの本を三冊の真ん中に置きます。窓を見る前に、窓のこちら側を確かめてみる。机の位置や壁の向こうを言葉にすることで、何気なく見ていた風景との関係も、少しずつ具体的になります。

    『さまざまな空間[増補新版]』について
  3. 03立ち止まる。

    うたたね

    川内倫子

    最後は、言葉を少し休ませるための一冊です。町を想像し、場所を考えたあとで、日常の小さなものへ目を戻す。何が写っているかを説明する前に、自分の視線がどこに留まるかを感じてみてください。窓の向こうを読む時間を、実際に見る時間へつなぐために。

    『うたたね』について

本棚の、そばで。

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